優れた建築作品を設計した新潟県内の建築士事務所を表彰することにより、建築士事務所の資質の向上に寄与することを目的としております。
審査委員長
西 村 伸 也
今年度第34回の「建築作品・新潟県賞」は、新潟県の優れた建築作品を設計した新潟県内の建築士事務所を表彰することにより、建築士事務所の資質の向上に寄与することを目的としています。審査委員は、西村伸也(新潟大学名誉教授)・地濃茂雄(新潟工科大学名誉教授)・高木実((一財)にいがた住宅センター理事長)・本間裕之((一社)新潟県建築士事務所協会会長)・砂塚秀知((一社)新潟県建築士事務所協会業務・技術委員長)の5名で、令和8年1月20日(火曜日)午後1時半から審査を行いました。応募作品は一般建築部門3,住宅部門3の合計6作品でした。
提出された応募資料を審査委員全員で精読し、各自がそれぞれの作品に30点を上限とした評価点をつけた上で、各応募作品の特徴と評価するポイントについて検討を重ねました。本年度は、一般建築部門、住宅部門ともに、極めて質の高い建築作品が集まり、多くの議論が行われました。その結果、以下の2作品を「建築作品・新潟県賞」の最優秀賞・優秀賞に値する建築作品として選出しました。
建築のコンセプト・空間機能・建築の造形・平面計画・空間の質・デザインの新規性・周辺環境との関係・構造の合理性・耐震性能・環境計画・材料・ディテール等、多くの視点からの評価を積み重ねて選ばれた2作品は以下です。
| 最優秀賞 | 「まちトープ」 | 佐藤圭真建築設計事務所 |
|---|---|---|
| 優秀賞 | 「空間領域の家」 | プラウム建築設計事務所 |
惜しくも選外となった作品も、BEMSを積極的に計画に組み込んだ作品、方形の平面をコアで4分割して居住空間を組み合わせ生活の場を巧みに創造した作品、木の柔らかな架構体をつなげることで子供の学び空間を多様につくりだした作品、空間を閉じながら陽の光を部屋いっぱいに取り込んだ作品など、新潟県の設計事務所がもつ高い創造性と建築デザイン力とがあらわれている作品ばかりでした。
今年度の日事連建築賞へは、小規模建築部門(延面積が1,000㎡以下の建築物:戸建住宅を含む)として、「まちトープ」(佐藤圭真建築設計事務所)と「空間領域の家」(プラウム建築設計事務所)の2作品を推薦することとなりました。
以下に、受賞された建築作品への講評を記します。
燕市宮町商店街の再生を担う複合施設で、細長い敷地に、図書館・ラウンジ・カフェ・キッチンスタジオの順で、リニアになだらかに繋がっている。地域の人々の居場所・活動の場としての空間が、西側前面道路の形状に沿って少しずつ雁行し、それぞれの機能が外から分かるように建築化されており、柔らかく分節しながらも一つにつながった有機的な全体を創りだしている。そして、その配置が必然であったように、各室の並びが心地よい空間の連携とリズムを生んでいる。東側隣地側に配置されたコア部分は、それぞれの空間を仕切りそして繋げていく巧みな仕組みとなっている。畳コーナーをもつ図書館、広いラウンジ、光庭に面したカフェ、アイランドキッチンのあるスペース、異なった個性を空間に織り込んでおり、人々の居場所としての強い魅力にあふれ、拠点となる力にあふれている。審査員全員が一致して、極めて質の高い作品であると評価された。
狭い25坪の敷地に建つ住宅である。車二台の駐車スペースを南と北端の敷地に置いて、その上をオーバーハングする形で居住部分が構築されている。両側の駐車スペースの高さが異なり、結果として左右に腕を広げたような面白い造形が創り出されている。1階に寝室とピアノが置かれた防音室があり、2階全体を占めるリビングが生活の中心として、南西側の中庭を望む。外からの視線を遮りながら、光を取り込むためにつくられたL字型の中庭である。極めて狭い敷地に、多くの条件をクリアしながら、豊かな生活空間が実現されており、質の高い住宅作品として高く評価された。