一般社団法人新潟県建築士事務所協会
一般社団法人新潟県建築士事務所協会

建築作品

 優れた建築作品を設計した新潟県内の建築士事務所を表彰することにより、建築士事務所の資質の向上に寄与することを目的としております。

令和3年度 第30回「建築作品・新潟県賞」

講 評

審査委員長 新潟大学名誉教授  
西 村 伸 也

 「建築作品・新潟県賞」は、優れた建築作品を設計した新潟県内の建築士事務所を表彰し、その設計技術を県内の建築士事務所で共有し、建築士事務所の資質の向上に寄与することを目的としています。今年度は、第30回の節目の年でした。新年から感染者が急速に増加するというコロナの困難な状況の中にもかかわらず、積極的に「建築作品・新潟県賞」に応募をしていただき、住宅部門4件、一般建築部門3件、都市部門1件の合計8件の応募作品が集まりました。
 審査は、令和4年1月20日午後1時半から、西村伸也(新潟大学名誉教授)・地濃茂雄(新潟工科大学名誉教授)・高木実(一般財団法人 にいがた住宅センター 理事長)・坂本忠志(一般社団法人 新潟県建築士事務所協会 会長)・江部健二(一般社団法人 新潟県建築士事務所協会 業務・技術副委員長)の5名の審査委員で行われました。応募作品に対して、審査委員全員で図面と写真を含む応募書類を精読した上で、各自がそれぞれの作品に30点を上限とした評価点をつけて、各応募作品の特徴と評価するポイントを活発に議論した上で賞を決定しました。本年度は、極めて質が高い作品が集まっており、コンセプトと建築のかたち・景観や周辺環境との関係・建築のデザイン・平面の構成と計画・材料・ディテールをはじめとして、多くの評価ポイントが議論されて、作品が選ばれることになりました。本年度は、上位4点の応募作品をさらに精査して、優秀賞3点とするという選定結果に至りました。
 優秀賞に選ばれた3作品は、「森の潜水艇 ホップこども園 森棟」(株式会社 高田建築設計事務所)、「聖籠35」(TOK205)、「路地の空に開く家」(プラウム建築設計事務所)です。
 今回選定されなかった応募作品は、どれも僅差の中で残念ながら選外となったもので、新潟県の設計事務所がもつ建築を創る力がますます高くなっていることを実感させられました。今後とも、新潟県建築士事務所協会の方々が、新潟の豊かさを建築として実現できる創造的な設計をすすめてくださることを期待します。さらに今年の日事連建築賞へ推薦する作品は、「森の潜水艇 ホップこども園 森棟」(株式会社 高田建築設計事務所)となりました。

優秀賞 森の潜水艇 ホップこども園 森棟 株式会社 高田建築設計事務所
優秀賞 聖 籠 3 5 T O K 2 0 5
優秀賞 路地の空に開く家 プラウム建築設計事務所

建築作品講評

優秀賞

「森の潜水艇 ホップこども園 森棟」

株式会社 高田建築設計事務所

 既存施設の道路を越えた側に別棟として計画された子供の建築である。森の中に建物が貫入するように配置されていた子供達の遊びと学びの場である。森の自然に融合した建築の景観をつくること、森の生物・植物と一緒に過ごすことが出来る場をつくること、その中で子供達が成長することを目指したデザインである。これらを、「帰還」・「発見」・「共有」という言葉に置き換えて、巧みに建築の空間としてのかたちが与えられた子供の空間は、楽しさとゆたかさを持つことに成功している。森を望むルーフテラス・階段・デッキが自然と子供を結ぶことで、森になじんだ景観をつくり出し、既存の大きな樹に近づくように左旋回で渦を巻く空間は、子供達同士をつなぎ、森へと向かわせる。いくつかの場所に置かれたDENは、子供達を包みグループの居場所ともなる。内と外が交じる空間が、その建築全体を森へとつなぎ、子供のための柔らかで豊かな空間が実現されている点が高く評価された。

優秀賞

「聖 籠 3 5」

T O K 2 0 5

 本物の木が貼り付けられた資料に初めて出会った。既存の平面構成を引き受けながら、現代の美しい住居が実現されている。南に細長く二段になった住宅は、まず伝統的な続き間が前列に配置され、寝室・キッチン・風呂がそれを後列で支えて、全体が木の気持ちのいい空間となっている。さらに、既存住居の特徴であったミセの空間を巧みに生かし、集落の人たちとの挨拶の場が面白いかたちで前列の玄関に続いている。この明快な空間構成と伝統と融合した建築が高く評価された。

優秀賞

「路地の空に開く家」

プラウム建築設計事務所

 路地に建つ5軒長屋の3軒分の敷地に計画された住宅である。狭い敷地の中で、路地に見つけた空に向かって中庭を置くデザインが、住居全体に豊かな光を取り込む。中庭の壁に反射した柔らかな陽は1階の細長いキッチンとダイニングテーブルに届き、中庭に向かう2階の主寝室・書斎・オーディオルームも、それぞれが過ごしやすく気持ちのいい空間となっている。路地が北西に開くという方角と狭い敷地の特徴を解決する巧みで精緻なデザインで実現された建築が高く評価された。